【店舗立ち退き】「スケルトンで退去しろ」と言われたら?内装代を立ち退き料として回収する方法
「建物を建て替えるから立ち退いてほしい。ついては、契約書通りスケルトン(原状回復)にして明け渡すように」
店舗の大家(貸主)から突然の立ち退き要求を受けた上に、このような条件を提示され、絶望的な気持ちになっている経営者様は少なくありません。 「自分から出たいと言ったわけではないのに、なぜ数百万もかけて壊さなければならないのか?」「こだわって作った内装代は丸損になるのか?」と納得がいかないのは当然です。
結論から申し上げますと、大家都合の立ち退きにおいて、テナント側が内装の残存価値を「立ち退き料」として回収し、スケルトン工事費用を実質的に免除させることは十分に可能です。
この記事では、店舗テナントが最も損をしやすい「造作(内装・設備)」と「原状回復」をめぐる交渉の裏側と、正しい対処法を弁護士が解説します。
そもそも「造作買取請求権の放棄」特約とは?
店舗の賃貸借契約書の多くには、「退去時、借主は自らの費用で原状回復(スケルトン戻し)を行わなければならない」「造作買取請求権をあらかじめ放棄する」といった特約が記載されています。
造作(ぞうさく)とは、テナントが自費で取り付けた内装、空調、厨房設備、パーテーションなどのことです。法律上、大家に対して「これを買い取ってくれ」と請求できる権利(造作買取請求権)があるのですが、契約書の特約でこれを「放棄」させられているケースがほぼ99%です。
大家側はこの特約を盾に、「契約書に書いてあるから内装代は1円も払わない。スケルトンにして出ていけ」と強気に出る傾向があります。
内装代は立ち退き料の算定項目に組み込める
では、特約があるからといって完全に泣き寝入りするしかないのでしょうか。決してそうではありません。
大家の一方的な都合による立ち退き(更新拒絶や中途解約)には、借地借家法上、厳格な「正当事由」と、それを補うための「立ち退き料(補償金)」が必要です。 造作買取請求権としては無効であっても、「立ち退きを強いられることによるテナントの事業上の損害(=立ち退き料)」の一部として、内装の残存価値を主張することは法的に可能なのです。
具体的には、以下のようなロジックで交渉を行います。
- 「あと10年はここで営業して内装代の減価償却を終える予定だった」
- 「大家の都合で強制的に移転させられるのだから、まだ使える内装の未償却分(残存価値)は、休業損害や移転費用と同様に『立ち退き料』として補償されるべきだ」
専門家である弁護士が論理的に算定し直すことで、内装代を実質的に立ち退き料へ上乗せして回収できる可能性が高まります。
「スケルトン戻し(原状回復)の免除」は交渉の基本
大家都合の立ち退きにおいて、最も不条理なのが「退去時の原状回復(スケルトン戻し)義務」です。 特に「建物の老朽化による取り壊し」や「建て替え」が立ち退きの理由である場合、テナントが自費でスケルトンに戻した直後に、大家がビルごと重機で解体するという矛盾が生じます。
このようなケースでは、「立ち退きに応じる絶対条件として、原状回復義務を免除し、現状有姿(居抜き状態)での明け渡しとする」という交渉を行うのが実務上の基本です。
大家側にとっても、立ち退き交渉が長引いて建て替えスケジュールが狂うよりは、現状のまま退去してもらった方がメリットが大きいため、免除交渉に応じるケースは非常に多いです。これにより、数百万単位の解体工事費用を浮かせることができます。
大家の「初期提示」で絶対に合意してはいけない
店舗の立ち退きにおいて、大家側から最初に提示される条件は、テナント側にとって極めて不利に設定されています。
よくある最悪の初期提示
- 立ち退き料:引越代と保証金の返還のみ(数十万円程度)
- 内装代:契約特約を理由にゼロ
- 退去状態:テナントの自己負担でスケルトン戻し
この条件で合意書にサインをしてしまうと、新店舗への移転はおろか、解体費用が払えずに事実上の「廃業」に追い込まれる危険性すらあります。「立ち退きは決定事項だから仕方ない」と、その場で絶対に印鑑を押さないでください。
内装にこだわった店舗ほど、弁護士の交渉力が必須です
飲食店、美容室、エステサロン、クリニックなど、内装や設備に多額の初期投資を行っている業種ほど、立ち退きによるダメージは致命的になります。
「内装代の残存価値をどう評価し、立ち退き料にどう組み込むか」 「スケルトン戻しをどのように免除させるか」
これらは、BtoB(企業間)の不動産契約に関する高度な法務知識と交渉ノウハウが求められます。大家側のペースに巻き込まれる前に、まずは立ち退き交渉の専門家である弁護士にご相談ください。適正な補償を獲得し、経営者様の「次の店舗づくり」を全力でサポートいたします。

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